夢のなかの法律は夢のなかでしか機能しない。小説のなかの犯罪は小説のなかでしか裁けない。アニメのなかの夢はアニメのなかでしかかなえられない。なら。
quote:ゲームのなかで被害を受けた場合,その仮想世界は無法地帯か,それとも裁判所の権力が及ぶ地域だろうか。ゲームで使うアイテムをオークションで売買する行為も,問題になることが多い。
舞台の上にいる裁判官が,観客席のあなたを指差して云う。あなたは腕を組んでいましたね。その行為は相手を侮蔑する行為として重罪です。今すぐあなたを処刑台にあげます。ここは舞台の上だから演技だと思っていますね? 本当に,殺しますよ?●あなたはこれが夢のなかだとわかっていたので,嫌いな人を思いっきり包丁で突き刺した。そこで,ふと目が覚めた。夢か…と思いながら身支度を調え,仕事に行くためにドアを開けると,警察官が立ちはだかって云う。人を殺しましたね。あれは夢のなかのことですって? 現実で人を殺してはいけないのに,どうして夢のなかなら許されるというのですか?
記事を読んでなんか変だなと思った人はいると思う。なんでこの人たちはゲームのなかでの悪いことは,現実の法律で裁くか,裁けないかの二者択一をしているのだ? と。もうひとつ,ワイヤードの法律で裁くという手段が残っており,それがいちばん正しいのだ。リアルとワイヤードは違う。同じ法律はありえない。たとえばリアルで銃が10万ドルで売っていたとして,ワイヤードで1ドルで売っていたとする。そのふたつの場所に同じ法律を敷くことはできない。だからiTunes ミュージックストアやナップスターはたった1ドルでしか音楽を売れないし(それさえもきびしい商売だ),同じ著作権を持ち込もうとする人間どもはバカにされる。こっちの国では麻薬を禁止している,でもこっちの国では禁止していないというような国ごとに違う制度を持っているリアルと,地球の裏側にいる人と10GBのファイルを自由にやりとりできるワイヤードとで,同じ法律はありえない。わかりきっていることだ。リアルの法を捨てよ,ワイヤードの法を持て。
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